ナット・キング・コール
Nat King Cole (1919-1965)
1927年、夏。母校インディアナ大学のキャンパスを訪れたホーギー・カーマイケルは、夜空を見上げているときにあるメロディを思い浮かべ、ふと口ずさんでみた。
後にミッチェル・パリッシュが歌詞をつけたそのチャーミングなメロディは、友人によって「Stardust」と命名され、以来さまざまなヴォーカリストに歌い継がれている。
ナット・キング・コール、1919年、アラバマ州モンゴメリー生まれ。
聖職者の両親のもとで育ったナット・コールは、5才の頃から母親にピアノを学び、12才で教会のオルガニストを勤めるようになった。
高校時代はジャズバンドを組んで演奏していたが、卒業後、ミュージカルの伴奏楽団の指揮のかたわらナイトクラブで演奏活動を始める。
その実力を認められてキングの愛称を授かった彼は、いつしかナット・キング・コールと呼ばれるようになった。
最初、ナット・コールのバンドは、ピアノを中心としたトリオの演奏だった。
ところがある日、客のリクエストに応えて「スイート・ロレイン」を唄ったところ大変に好評で、次第にボーカル曲のレパートリーが増えていった。
デビュー当時のナット・コールのピアノ演奏は、オスカー・ピーターソンにも影響を与えたと言われるほど見事なものだった。
しかし、聴衆の人気は甘くケレンのない彼のハスキー・ヴォイスに集中し、51年、ついにトリオを解散、ナット・コールは歌に専念することを決意する。
ポピュラー歌手に転身してからの活躍は目覚ましかった。
叙情的なラヴ・バラードは多くのポップスファンの心を捉え、レコードはミリオンセラーを記録。彼は多くの音楽ファンに愛され、彼もまた世界中の音楽ファンを愛した。
1965年、ナット・キング・コールは肺ガンのため、45歳の若さでこの世を去った。
フランク・シナトラと並んでロバート・ケネディも参列した葬儀では、故人を偲んで彼の代表曲「Stardust」が流された。
今宵も、ナット・キング・コールに乾杯!