パリ生まれでドイツ在住のスペイン国籍、世界各国の言語を用いて多種多様なポピュラーソングを披露し、「唄う通訳」と呼ばれたカテリーナ・ヴァレンテが、1957年の米国コンサートの際にスタジオ録音したジャズのレコードです。
以前『Plenty Valente』のタイトルでLPがリリースされていましたが、ずっと廃盤のままでした。昨年(2003年)、タイトルを『Caterina Valente in New York』と改め、お洒落なジャケットデザインでようやくCD化されました。
芸能界に才色兼備と呼ばれる女性はゴマンといますが、この人ほど凄い人にはそう滅多にお目にかかれません。
なにしろフランス語、ドイツ語はもちろんのこと、このレコードでは(ジャズだから)英語、コンサートでイタリアに行けばイタリア語でカンツォーネ、スペインではスペイン語でフラメンコ、他にポルトガル語、ギリシャ語と各国語を自由に操り、なんと日本に来日したときは「花」や「お江戸日本橋」を日本語で唄っております(レコードもあり)。
そのとき(1957年)の来日コンサートをプロモートしたのが渡辺プロで、これをきっかけにザ・ピーナッツのドイツ公演も実現しました。余談ですが、ザ・ピーナッツの「情熱の花」(ベートーヴェン「エリーゼのために」のポップス化)のオリジナルは、カテリーナさんのドイツ語ヴァージョン(「Passion Flower」)であります。
日本にやって来て30年も経つのに、いまだに発音がおかしい某中国出身の日本ユニセフ大使(歌もヘタクソ)なんぞ、足元にも及びませぬ。
あまり多才過ぎると「なんでも屋」みたいに軽く見られがちですが、彼女の場合、どんなジャンルの歌にも精通していて、『Caterina Valente in New York』でも持ち前の明朗な声で軽快にスウィング。ちゃんとしたジャズを披露しています。
まるでブロードウェイ・ミュージカルの如きゴージャスな伴奏は、サイ・オリヴァー編曲指揮のオーケストラ。
メンバーには、チャーリー・シェイヴァース(tp)、J.J.ジョンソン(tb)、ハンク・ジョーンズ(p)など、錚々たる面々が参加しています。
2004/11/13
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