soe006 drinks Salty Coffee 今日の1曲(12)

ジャズ倶楽部

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スタンダードソングとモダンジャズ/今日の1曲


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Song of India / Tommy Dorsey Orchestra
This Is Tommy Dorsey & His Orchestra, Vol. 1 (RCA/Collectables)

This Is Tommy Dorsey & His Orchestra, Vol. 1
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トミー・ドーシー楽団は、1936年〜50年代半ばのスウィング・ジャズ全盛時代にヒット曲を連発していた、人気のダンス・バンド。
トミー・ドーシーのトロンボーンは、切れ目を感じさせない息の長いフレージングとソフトな音色が特徴で、特に女性に人気がありました。
いっぽう、トミー・ドーシーは、ハリー・ジェームズ楽団との契約が1年以上も残っているフランク・シナトラを強引に引き抜いたり、仁義をわきまえないバンド経営者としての悪名もあります。
ジミー&トミーのドーシー・ブラザース楽団で一緒に演奏活動をしていた兄のジミーと喧嘩別れしたために自分のバンドを持つことになった経緯は業界の誰もが知るところで、彼らの兄弟仲の悪さは有名でした。
本人たちを主演にして、『The Fabulous Dorseys トミー&ジミー・ドーシー物語』という映画が、1947年に作られています。残念ながら日本未公開で観る機会がないのですが、このあたりの事情がどのように描かれていたのか、ちょっと気になります。
1940〜42年に83曲のスタジオ録音を残したシナトラは、結局、契約問題のもつれからドーシー楽団を去ることになりますが、その際、ソロ活動によって得られた収入の30パーセントを支払うことに同意させられました。守銭奴ドーシーらしい逸話です。
そのシナトラも、キャピトル時代を経て自己のレーベル会社リプリーズを設立したとき、トミー・ドーシー時代のレパートリーを再演した『I Remember Tommy』を録音しているくらいですから、人間性は別にして、彼の音楽には篤い信仰があったのでしょう。
「インドの唄 Song of India」は、1898年に初演されたリムスキー=コルサコフ作曲のオペラ『サトコ』からのアリアを、トミー・ドーシーが編曲した、1937年のヒット・ダンス・ナンバー。
2004/11/27

You'd Be So Nice To Come Home To / Art Pepper
Art Pepper Meets The Rhythm Section (Contemporary)

アルバムタイトル
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このサイトでは、基本的に曲名を横文字で表記しています。
原題のカタカナ表記だと、例えば、「ラブ」とすべきか、より正確な発音に近い「ラヴ」にするか、さてどっちにしようかと些末な事に悩まなければならないし、「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」なんてカナの羅列は文字数ばかり食って、読み難いこと夥しい。
では邦題表記はどうかというと、これがイチバンの問題で……
今日の一曲「You'd Be So Nice To Come Home To」は、日本盤CDに添付されているライナーノーツでは、その半数以上に「帰ってくれたら嬉しいわ」と表記されています。
歌詞の内容をちゃんと見れば、この曲が「あなたの待つ家に帰ることができたなら、私にとってこれほど嬉しいことはない」といった意味の歌であり、第2次世界大戦中にこの曲が人気を呼んだのは、故郷を離れ家族や恋人と別れて生活している兵士たちの心情を歌ったものだったから、という事情があったことにも合点がいくはずです。
そんな、間違った邦題を慣例に従って使うのは嫌なので、当サイトでは(検索ワードに引っ掛からないのは悔しいけど)、歌の内容を蔑ろにした邦題は表記しない方針です。
「You'd Be So Nice To Come Home To」は、先に書いたように第2次世界大戦中の1943年に、コール・ポーターがミュージカル『Something to Shout About』の1曲として書いたナンバー。
スタンダード・ソングのなかでも人気が高く、録音も非常に多い曲ですが、ヴォーカル版ではクインシー・ジョーンズの編曲でクリフォード・ブラウンが共演しているヘレン・メリルのEmArcy盤、演奏盤では、このアート・ペッパーのContemporary盤が定番となっています。
西海岸をツアー中だったマイルス・デイビス・クインテットのリズム・セクションの、オフの1日を利用してアート・ペッパーとの共演レコードを作ろうと企画したのは、プロデューサーのレスター・ケーニッヒ。
その日(1957年1月19日)の朝、麻薬癖から更生中で病み上がり状態のペッパーは、電話のベルにたたき起こされます。
「マイルスのリズム・セクションが待っている、いますぐスタジオに来てくれ」
Contemporaryレーベルの録音エンジニア、ロイ・デュナンは、右側にリズム・セクション(レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds))、左側にペッパーを配置して、ステレオ・レコーディング。スタジオはまるで、イーストコーストVS ウエストコーストの対決の如き様相。
マイルスのリズム・セクションに触発されたのか、逆にペッパーがリズム・セクションを煽ったのか。同時期に録音されたペッパーの演奏とはひと味違った荒っぽいブローイングに、ウエスト・コースト陣も手抜きなしの熱演で発止と応じ、不朽の名盤が誕生しました。
但し、ここに収められた演奏はペッパー本来の持ち味とは異なるものなので、個人的には、このレコードをもってアート・ペッパーの代表作とするのには反対なのですが。
2004/11/26

(I'm Left With the) Blues in My Heart / Benny Carter
Benny Carter & The Jazz Giants (Pablo)

Benny Carter & The Jazz Giants
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ベニー・カーターがVerveレーベルに残した録音から、ジャズ・ジャイアンツとの共演ナンバーを編纂したコンピレーション盤。
アルバムにはキャット・アンダーソン、カウント・ベイシー、ルイ・ベルソン、レイ・ブライアント、ハリー・エディソン、トミー・フラナガン、コールマン・ホーキンス、ミルト・ジャクソン、ジョー・パス、オスカー・ピーターソン、シェリー・マン、ディジー・ガレスピー、アート・テイタムなど、錚々たるメンバーとの共演が収められています。
こうやって名前を並べてみると、いまさらながらですが、ノーマン・グランツ(Verveレーベルの創設者)の人脈の豊かさに驚かされます。
ベニー・カーターのプレイは、どれも根底にブルース魂が感じられるのですが、この人の場合はブルースといっても泥臭い粘っこさはありません。洗練されたフレーズは粋で、音色はいつもコントロールされており、決して逸脱したトーンを出すことはありません。
そんなところが、60年代のファンキー・ブームに乗れず、忘れられた原因になったのかもしれません。
いま最も再評価が望まれるジャズ・プレイヤーの一人です。
2004/11/25

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