1937年
作詞/ロレンツ・ハート Lorenz Hart
作曲/リチャード・ロジャース Richard Rodgers
私のおかしなヴァレンタイン、滑稽で愛しい私のヴァレンタイン
あなたを見てると自然に笑いがこみ上げてくるわ
あなたは馬鹿馬鹿しいくらいに不細工だから、写真向きじゃないわね
だけど、私にとっては最高の美術品よ
もちろんギリシャ彫像とは比較にならないし、口許だってだらしない
それに、その口から出てくるお喋りは、ちっとも面白くないけど
でも私のことを好きなら、髪型は変えないでね
いつまでも、今のままのヴァレンタインでいてちょうだい
そしたら毎日が、私にとってのヴァレンタインズ・デイになるわ
街を歩いていると、どーしょーもないショボくれたオヤジが、スーパーモデル級の美女と歩いていたりするのを時折見掛けます。「この野郎、上手いことやりやがって」と羨ましがったりもするのですが、逆に本木雅弘みたいなキリッとした男前と潰れた餡パンみたいな女の子の組合せも、たまに見掛けます。
昔から「痘痕も靨(あばたもえくぼ)」とか「蓼食う虫も好きずき(たでくうむしもすきずき)」とか言われていますが、人の好みというものはさまざまで、一般常識では理解しがたい多面性を持っているものですなぁ。
ちなみに俺の好みは、オデコが魅力的な女性です。オデコ自慢の女の子、メールお待ちしています。……爆!
ミュージカル『Babes in Arms』(1937年)の挿入歌で、オリジナルの舞台ではミッチー・グリーンが唄い、39年に映画化された『青春一座(Babes in Arms)』ではジュディ・ガーランドが唄っています。
作詞作曲は名コンビ、リチャード・ロジャースとロレンツ・ハート。
そんなにいい曲とは思えないんですが、なぜか人気があります。ことに毎年2月になるとやたらラジオから流れてきて、冬の風物詩みたいになっています。
有名過ぎるほどに有名なナンバーなので、他に付け加えるべきエピソードはごさいません。
レーベルとの契約を消化するため、1956年5月11日/10月26日の2日間にレコード4枚分、24曲をまとめて録音したマイルス・デイビス・クインテットのPrestige盤は、スタンダード・ナンバーの宝庫。
マラソン・セッション4部作の第1弾としてリリースされた『Cookin'』の冒頭に収録された「My Funny Valentine」は、レッド・ガーランド(ピアノ)のイントロがチャーミングで、マイルスの陰気なミュート・トランペットの隙間に奏でられるピアノ・ソロからは、早春の清々しい空気の香りが漂ってきます。
やっつけ仕事のつもりで録音した4部作が自己の代表作になってしまった、なんとも皮肉な結果が「Funny」です。
以前はチェット・ベイカーの中性的な、ちょっと隠微な響きのある歌声が苦手でした。巧いとか下手とかじゃなくて気持ち悪い、って感じで嫌っていたのですが、最近はちょいちょい聴くようになりました。
感情を抑制してサラリと唄っているところがクールで、ジューン・クリスティやクリス・コナーに通ずるところがあります。男のクセに女性ヴォーカルとしか比較されないチェットも、かなり「Funny」です。
シナトラ盤はブリッジ(サビの部分)をワルツのリズムで処理したところが、「Funny」です。伴奏の編曲・指揮は、Capitol時代の名コンビ、ネルソン・リドル。
そして4枚目の推薦盤は、映画『恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』のサウンドトラック盤。辛口のラストシーンに流れたミシェル・ファイファー(唄)とデイヴ・グルーシンのピアノでどうぞ。
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