1950年
作詞/ジェイ・リヴィングストン Jay Livingston
作曲/レイ・エヴァンス Ray Evans
街は祝日の装いで飾られ、クリスマス気分でいっぱい
子供たちははしゃぎ廻り、舗道を行き交う人たちも微笑みあっている
そして街角から聞こえてくる、銀鈴の音
耳をすませてごらん、キンコン、カンコン
そう、もうすぐクリスマスがやってくる
大通りの街灯は、長く連なって、光の弦のよう
信号も、赤や緑のまばたきをしてる
宝物をパンパンに詰めた袋を抱えて、買物客たちは帰路をいそぐ
耳をすましてごらん、サクサク、サクサク
子供たちが雪を踏んで駆け回ってる
サンタは大忙しだよ
そんな喧噪の向こうから聞こえてくるのは、銀鈴の音
シルヴァー・ベルズ、シルヴァー・ベルズ
街中がクリスマスであふれている
耳をすませてごらん、キンコン、カンコン
そう、もうすぐクリスマスがやってくる
1950年にジェイ・リヴィングストン(作詞)とレイ・エヴァンス(作曲)によって作られた、ワルツ調のクリスマス・ソング。
パラマウント映画『The Lemon Drop Kid』(51年製作/日本未公開/TV放映邦題『腰抜けペテン師』)のなかで、ボブ・ホープとマリリン・マックスウェルが唄っています。この映画は、 1934年製作『よたもん稼業 The Lemon Drop Kid』のリメイクで、レモン・ドロップ・キッドと渾名のあるケチな詐欺師を主人公にした、心温まる人情喜劇でした。
1940年以降に作られたクリスマス・ソングは、宗教色(賛美歌色)が稀薄なのが特徴です。この歌でも、サンタクロースこそ出てきますが、都会の風景しか語られていません。教会の鐘の音も、年末の風物詩としての扱いになっていて、第2次世界大戦後、クリスマスが宗教を離れ、年中行事の一つとして扱われていった経緯が伺えます。
1951年録音のビング・クロスビー盤は、キャロル・リチャードとのデュエットで唄われています。ビングは、その人柄といい声質といい、クリスマス・ソングにぴったりのキャラクターですね。
ダイアナ・ロスとザ・シュープリームスのモータウン盤は、コンテンポラリーなサウンドが、都会(ニューヨーク)の雰囲気をよく伝えています。元気の出るクリスマス・アルバム。
逆に、どんな歌詞を唄っても、宗教的な畏敬の念をいだかせてしまうのが、ゴスペルの女王マヘリア・ジャクソンのコロンビア盤。この人のレコードを聴くと、(無信心者のくせに)神の前にひざまづきたい気分になります。
最近の録音では、オーストラリアのジャネット・サイデルがイイです。2004年にリリースされた『Hooray For Christmas』というクリスマス・アルバムに収録されています(注:「Silver Bells」は日本盤のみ収録のボーナス・トラック)。
この人は、(人気のダイアナ・クラールやカサンドラ・ウィルソンと比べたら)今ひとつ地味な歌手(&ピアニスト)ですが、毎年のように来日しているので、熱狂的なファンもいます。「ペギー・リー・トリビュート」、「ドリス・デイ・トリビュート」に続いて、今年(2005年)は「ブロッサム・ディアリー・トリビュート」アルバムがリリースされました。
クセのない素直な歌唱はアット・ホーム的で、クリスマス・ソングの歌い手としてはベストだと思います。国内盤のジャケット・デザインも可愛いらしく、彼女らしい暖かさがあって、イイですね。 ジャネット・サイデル ディスコグラフィー
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