ハリウッド版『Godzilla』（1998）の公開に便乗して企画されたカバー・コンピレーションです。
聴きものはなんと言っても伊福部昭のオリジナル『ゴジラ』シリーズからの音楽。
『ゴジラ』（1954）からの「メインタイトル」と「フィナーレ」の鎮魂歌が、それぞれアタマとシッポにゴジラの足音と鳴き声のサウンド・エフェクト付きで。『三大怪獣　地球最大の決戦』（1965）からはゴジラのモチーフとラドンのモチーフが交錯するお馴染みの怪獣サウンド。『怪獣総進撃』（1968）からはメインタイトルのマーチ。『メカゴジラの逆襲』（1975）から重量感タップリのメカゴジラのモチーフ。『怪獣大戦争』（1965）からメインタイトルのマーチ。以上、５作品から６曲が収録されています。同時期にリリースされたVareseの『MONSTER MANIA』（これもカバー演奏盤）より曲数は少ないですが、伊福部サウンドに絞った選曲が潔いですね。『ゴジラ』の鎮魂歌には歌詞がなく、ラドンのモチーフに女性コーラスを使うなど、オリジナルとは異なった編曲ですが、けっこう迫力のある演奏が展開されています。

もう一つの聴きものは、英国のハマー・フィルムが製作した特撮３部作『恐竜１００万年』（1966）『恐竜時代』（1970）『原始人１００万年』（1971）。
音楽を担当したのはマリオ・ナシンベーネです。
イタリア史劇で培った荘厳なコーラスと重厚なオーケストラ演奏を聴かせる『恐竜100万年』。
のびやかに響くホルンが心地よいスケール感たっぷりの『恐竜時代』。曲想が『ヴァイキング』にちょっと似ています。
一転して低音木管と土俗的なリズムの打楽器によって有史前の暗黒世界が描写される『原始人１００万年』。
３作品ともに聴き応えのある演奏となっています。

英国のジョン・スコットは、『キングコング２』で爽やかなメロディを披露しています。
テレビ版のテーマをモダン・ビッグバンドでジャーズィに演奏した『フリントストーン　モダン石器時代』（1994）も楽しいですね。曲の終わりでは、つい一緒になって「ヤバダバドゥー！」と声にしてしまうくらいノリのある演奏です。

『ゴジラ』組曲を除いて、いずれもオリジナルに忠実なテンポと編曲となっていますし、ゴールドスミスの音盤化されていない『恐竜伝説ベイビー』の収録は嬉しいものです。
『リトルフットの大冒険　謎の恐竜大陸』は、オリジナル盤（MCA）の音量が小さかったこともあって、こちらのほうが量感豊かな演奏に聞こえました。