(Sony Classical/SK92767)
知りすぎていた男
The Man Who Knew Too Much
01 Prelude (02:40)
サイコ
Psycho: A Suite For Strings
02 Prelude (02:04)
03 The City (01:44)
04 The Rainstorm (01:25)
05 The Madhouse (02:36)
06 The Murder (01:01)
07 The Water (01:11)
08 The Swamp (02:28)
09 The Stairs (01:32)
10 The Knife (00:28)
11 The Cellar (01:16)
12 Finale (01:57)
マーニー
Marnie
13 Prelude (05:13)
14 The Hunt (05:45)
北北西に進路を取れ
North By Northwest
15 Overture (02:46)
めまい
Vertigo: Suite
16 Prelude (02:58)
17 The Nightmare (02:08)
18 Scene D'Amour (06:49)
引き裂かれたカーテン(リジェクト・スコア)
Torn Curtain
19 Prelude (02:17)
20 Gromek (01:54)
21 The Killing (02:16)
華氏451
Fahrenheit 451: Suite For Strings, Harps, And Percussion
22 Prelude (01:32)
23 Fire Engine (01:01)
24 The Bedroom (01:39)
25 The Reading (02:03)
26 The Garden (01:26)
27 The Nightmare (01:51)
28 Flowers of Fire (01:43)
29 Flamethrower (00:37)
30 The Captain's Death (01:00)
31 The Road (02:14)
32 Finale (02:25)
タクシー・ドライバー
Taxi Driver: A Night-Piece For Orchestra With Obbligato Alto Saxophone
33 Prelude (00:54)
34 Blues (03:10)
35 Night Prowl (00:29)
36 Bloodbath (01:27)
37 Finale (00:45)
total time: 76:45
Composer by Bernard Herrmann
Conductor by Esa-Pekka Salonen
Los Angeles Philharmonic
Recorded at The Todd-AO Scoring Studio,
Los Angeles
in April 15-16 1996
エサ=ペッカ・サロネン指揮ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団による、バーナード・ハーマン映画音楽集。1996年4月、デジタル録音。
ヒッチコック作品5本に加え、フランソワ・トリュフォーの『華氏451』、マーティン・スコセッシの『タクシー・ドライバー』の、計7作品が収録されている。
実はこのCD、1996年にリリースされた直後、大期待に心躍らせつつ国内プレス盤を購入したものの、演奏内容に失望。また、この盤でしか聴くことの出来ない貴重なトラックもないことから、(発売直後の国内盤CDは高く買い取って貰えるので)速攻で中古屋に売り払ってしまった、いわく付きの1枚。
その後、インターネット等でベタ褒めされているのを見て、「しまった、さては俺様の耳はロバの耳、早々に手放したのは短慮であったか!」と後悔&反省したが、覆水盆に返らず。通常盤はすでに廃盤となっており、市場にはSACD盤しか残っていない。
そのうち中古屋で巡り会うこともあるやも知れぬと、半ば諦めていた昨年末、(ストコフスキー最晩年のコロムビア録音探索中に)廉価盤シリーズ「Great Performances」の1枚として、米国Sonyより再発売されているのを偶然発見。
万歳三唱、小躍りしながら小銭を数え、あらためて購入。
収録されている作品のうち、『サイコ』『めまい』『マーニー』『北北西に進路を取れ』は、ハーマン自身がロンドン・フィルを指揮したデッカ(London)盤があり、残る『知りすぎていた男』『引き裂かれたカーテン(リジェクト)』『華氏451』『タクシー・ドライバー』も、エルマー・バーンステイン指揮ロイヤル・フィルのMilan盤や、ジョエル・マクニーリィ指揮ロイヤル・スコティッシュのVarese盤、シティ・オブ・プラハのSilva盤で聴くことが出来る。
それぞれ立派な演奏なので、サロネン&ロス・フィルに、それらを凌駕するものを求めるのは当然だろう。ハードルは高いのだ。
で、結論から言うと……やっぱりダメでした。
このCDにはリスナーの魂を揺さぶる、これがあるからこそ音楽を聴くのだという、ファクターというか魅力というか、肝心なものが欠落している。
譜面にある音符を、音に変換しただけの演奏。
例えば『めまい』のハイライト「Scene D'Amour」を聴いてみる。
バーンステインがロイヤル・フィルの得意とする流麗な弦のアンサンブルを活かし、序盤ゆっくり目のテンポで静謐に浮かび上がらせ、後半をエモーショナルにねちっこく盛り上げていたのに対し、サロネンは聴き手の感情を刺激させることなくスルスルと通り過ぎてゆく。クライマックスでハープがなぜ用いられているのか、まるで分かっちゃいない。映画の、該当の場面を観ないで楽譜だけを頼りに演奏すると、このような演奏になるのかも知れない。
技量に劣るシティ・オブ・プラハ・フィルハーモニック管弦楽団だってこのようなマヌケな演奏はしない。実際、比較して聴いたが、シティ・オブ・プラハ(Silva盤)のほうが遙かに生気ある演奏だった。
まして、手元にはハーマンの自作自演盤だってあるわけで、なぜにこのようなCDをわざわざ選んで聴くことがあろう。
それに……メータやジュリーニが常任指揮者だった1960年代後半〜80年代半ばならまだしも、現在のロス・フィルはそんなに上手い楽団ではない。
このCDでもパッセージをちゃんとこなせず、音がヨレてしまっているところが幾つもあった。『サイコ』メインタイトルや『北北西に進路を取れ』の歯切れの悪さは、聴いていて気持ち悪いくらいだ。
確かにこのCDは、スペック的には優れているかも知れない。
強音部がびりびり割れていたハーマンのデッカ盤より音質はいいだろう。Silva盤のシティ・オブ・プラハ・フィルよりもロス・フィルのほうが楽団員の腕は上だろう。だけど、この録音は綺麗なだけで楽しくないし、演奏はぜんぜん面白くない。
音楽を聴く歓びは、まったく感じられなかった。
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