site-logo Bernard Herrmann Music From Great Film Classics (1971)
映画音楽作曲家

バーナード・ハーマン グレイト・フィルム・クラシックス
Bernard Herrmann / Music From Great Film Classics (1971)

(Decca / SP 44144) LP
Music From Great Film Classics
side A
『ジェーン・エア』
Jane Eyre
(1943)
01 Selections from the film 'Jane Eyre' (13:12)
『キリマンジャロの雪』
The Snows of Kilimanjaro
(1952)
02 Interlude (6:35)
side B
『キリマンジャロの雪』
The Snows of Kilimanjaro
(1952)
01 The Memory Waltz (4:13)
「ウェルズ・ライズ・ケーン」
Welles Raises Kane
(1943) [13:19]
02 Overture (2:45)
03 Variations (5:40)
04 Ragtime (1:49)
05 Finale (Persuit and Happiness) (2:57)
『悪魔の金』
The Devil and Daniel Webster
(1942) [4:34]
06 Sleigh Ride (1:53)
07 Swing Your Partners (2:37)
Conducted by Bernard Herrmann
London Philharmonic Orchestra
Produced by Tony D'Amato & Gavin Barrett
Recorded at London, February, 1970
Label Decca/London
Catalog No. SP 44144
Release date 1971
英国デッカ・レコードが開発した、フェイズ4方式によるマルチステレオ録音シリーズの1枚。
デッカにおける映画音楽作品集としては、「Music from the Great Movie Thrillers」に続いて2枚目となる。演奏は前作と同じく、バーナード・ハーマン指揮によるロンドン・フィルハーモニック・オーケストラ。
『ジェーン・エア』『キリマンジャロの雪』「ウェルズ・ライズ・ケーン」『悪魔の金』から、コンサート用にアレンジした組曲が収められている。
(「ウェルズ・ライズ・ケーン」は、『市民ケーン』『偉大なるアンバーソン家の人々』からの楽曲を、ハーマンが1943年に演奏会用に編纂した組曲)
シャーロッテ・ブロンテ原作の映画化『ジェーン・エア』は、主要なキューをつなぎ合わせた13分の「音の絵巻物」。実に堂々とした風格のある演奏で、木管とストリングスで静かに始まる序盤から、緩急のある紆余曲折を経てフィナーレに至る構成は、主人公の数奇な運命を的確にトレースしていて見事。
物語の後半、サスペンス調になる展開も、弦楽器の重厚なスタッカートがたたみかけてくるところなど、迫力がある。
『キリマンジャロの雪』からは、美しいメロディの「間奏曲」と「メモリー・ワルツ」を収録。弦楽器と木管によって奏でられる静謐な音世界。
繊細な流れの「間奏曲」は(シェーンベルクの「清められた夜」のような)幻想的な官能性さえ漂わせている。
「ウェルズ・ライズ・ケーン」は、マルチチャンネル録音の特性を活かし、楽器の個性が強調された録音。
レコーディングは2度目とあって、全体的にゆとりが感じられ、初録音(1968年)のときの破天荒な荒々しさはない。
カラフルな積み木を精密に組み立てたような、端正で色彩感豊かな演奏は、次々と入れ替わる楽器の音色を聴いているだけでも楽しい。
なお「ウェルズ・ライズ・ケーン」は本来は5曲から構成されている組曲だが、今回は『偉大なるアンバーソン家の人々』からの1曲、ヴァイオリンとハープによって奏でられる美しいアダージォ「Medtiation-Antimacassar」が割愛されている。全曲を聴くためには1967年録音盤を手入しなければならない。
『悪魔の金』からは、賑やかなリズムが魅力的な2曲、「そりすべり」とフィナーレの「スウィング・ユア・パートナーズ」がチョイスされている。
打楽器群の豊かな反響音が聴いていて気持ちいい。
1970年当時は最高水準のアナログ録音だった。デジタルの繊細さはないが、各々の楽器がバランス良く堂々と自己主張し、色彩効果満点の録音が愉しめる。
逆に最近のデジタル録音はスペックは優秀だが、録音の個性を感じられるものが少なくなっているように思う。
フェイズ4方式はホールの反響や残響を無視して人工的にステレオ空間を造っているため、クラシック愛好家には嫌う人も多いが、スタジオ録音を前提に演奏される映画音楽の録音には向いている。ハーマン作品のように楽器の音色を表出させるタイプの管弦楽曲では、最大限に効果が発揮されていると思う。
S/N比を抑えるための処置として音量のレベルが大きめに録音されているので、オーディオ装置によっては強音部の再生時に歪んでしまうことがある。
出力に余裕のある大型のアンプで聴きたい。

Music From Great Film Classics

(Decca/London 448 948-2)
Music From Great Film Classics
「ウェルズ・ライズ・ケーン」
Welles Raises Kane
(1943) [13:26]
01 Overture (2:48)
02 Variations (5:40)
03 Ragtime (1:50)
04 Finale (Persuit and Happiness) (2:59)
『ジェーン・エア』
Jane Eyre
(1943)
05 Selections from the film 'Jane Eyre' (13:15)
『悪魔の金』
The Devil and Daniel Webster
(1942) [4:38]
06 Sleigh Ride (1:57)
07 Swing Your Partners (2:38)
『キリマンジャロの雪』
The Snows of Kilimanjaro
(1952) [10:53]
08 Interlude (6:36)
09 The Memory Waltz (4:14)
London Philharmonic Orchestra
Recorded at London, February 1970
『SF巨大生物の島』
Mysterious Island
(1961) [14:30]
10 Prelude (1:58)
11 The Balloon (2:53)
12 The Giant Crab (3:37)
13 The Giant Bee (2:52)
14 The Giant Bird (3:06)
『アルゴ探検隊の大冒険』
Jason and the Argonauts
(1963) [10:59]
15 Prelude (2:35)
16 Talos (2:20)
17 Talos's death (2:41)
18 Triton (3:22)
National Philharmonic Orchestra
Recorded at Kingsway Hall, February 1975
Label Decca/London (448 948-2)
Release date 1996 (CD)
上記LP盤のCD化。
1975年にナショナル・フィルで録音された「The Mysterious Film World of Bernard Herrmann」から『SF巨大生物の島』と『アルゴ探検隊の大冒険』のコンサート用組曲を追加収録。
2010.11 CD再発売されました

Music From Great Film Classics

(Master Film Music/Varese Sarabande SRS 2005/8)
Bernard Herrmann The Concert Suites
Conducted by Bernard Herrmann
London Philharmonic Orchestra
National Philharmonic Orchestra
Recorded at 1968 / 1970 / 1973 / 1975
Label Master Film Music/Varese Sarabande (SRS 2005/8)
Release date 1989 (4CD-box set)
フェイズ4方式でマルチステレオ録音されたバーナード・ハーマン自作自演盤(1969年から1976年までにリリースされた4枚のLP)を、デッカ(ロンドン)よりライセンスを借り受けたロバート・タウンソンがヴァーレーズ・レーベルでCD化した4枚組。
マスター・フィルム・シリーズとして1989年に限定販売された。

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