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映画音楽作曲家

ALIEN INVASION
SPACE AND BEYOND II (1998)

(Silva Screen FILMXCD 190) 2CD
ALIEN INVASION: SPACE AND BEYOND II
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Disc1
『マーズ・アタック』 イントロダクション&メイン・タイトル (4:02)
ダニー・エルフマン
『地球の静止する日』 組曲 (5:40)
バーナード・ハーマン
『デューン 砂の惑星』 組曲 (8:42)
TOTO
『スター・トレック』 クリンゴンの攻撃 (5:38) ジェリー・ゴールドスミス
『ディープ・スペース・ナイン:父と子』 最後の訪問 (3:10)
デニス・マッカーシー
『STAR TREK ファースト・コンタクト』 エンド・タイトル (5:10)
ジェリー・ゴールドスミス
『地球最後の日』 組曲 (8:28)
リース・スティーヴンス
『宇宙の7人』 テーマ (4:04)
ジェイムズ・ホーナー
『遊星よりの物体X』 組曲 (7:34)
ディミトリー・ティオムキン
『トワイライトゾーン 超次元の体験』 エンド・タイトル (6:29)
ジェリー・ゴールドスミス
『宇宙空母ギャラクティカ』 組曲 (11:07)
ステュー・フィリップス、グレン・A・ラーソン
『スターゲイト』 ギザ1927/ゴーイング・ホーム (4:46)
デビッド・アーノルド
Disc2
『禁断の惑星』 プレリュード (3:15)
ロイス&ベビー・バロン
「組曲惑星より火星」 (Not Movie) (8:07)
グスタフ・ホルスト
『コンタクト』 エンド・タイトル (8:49)
アラン・シルベストリ
『スターシップ・トゥルーパーズ』 組曲 (7:10)
ベイジル・ポールデュリス
『プレデター』 テーマ (4:07)
アラン・シルベストリ
『宇宙戦争』 組曲 (10:34)
リース・スティーヴンス
『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』 帝国のマーチ (3:13)
ジョン・ウイリアムス
『スペース・インベーダー』 エンド・タイトル (3:44)
クリストファー・ヤング
『SPACE:ABOVE AND BEYOND』(未公開) 組曲 (7:32)
シェリー・ウォーカー
『V』(TVシリーズ) テーマ (1:50)
ジョー・ハネル
『スターマン 愛・宇宙はるかに』 エンド・タイトル (4:44)
ジャック・ニッチェ
『インデペンデンス・デイ』 エンド・タイトル (9:01)
デビッド・アーノルド
『遊星よりの物体X』 The Thing Lives! (2:12)
ディミトリー・ティオムキン
DOLBY SURROUND
HDCD

Silva ScreenのSFジャンル第2弾は、侵略宇宙人をテーマにした作品集。古典的作品と新しい作品の選曲バランスがよく、シティ・オブ・プラハの演奏も快調。Silvaのカバー・コンピ盤としてはベストの2枚組CDだと思う。
燃える牛のスタンピード、その背後から音もなく現れる謎の円盤。このファースト・シーンを見た途端、これは俺の好きな映画だ、と直感した『マーズ・アタック』。音楽担当はこの作品以降どうもパッとしないダニー・エルフマン。全編にティム・バートン監督の趣味が炸裂。豪華な出演陣が容赦なく火星人に殺されてゆくのが痛快! それに歩調を合わせてエルフマンの音楽も、テレミンをびゅ〜んと鳴らし、50年代B級テイストの悪ノリを見せる。収録されている「Introduction & Main Title」は先のファースト・シーンから、いったん火星に戻った謎の円盤が、仲間たちを引き連れてゾクゾクと地球目指してやってくるタイトル・バックに流れた曲。聴いているだけでゾクゾクしてくる。
フランク・ハーバートの大河ロマン『砂の惑星』を映画化したのは、こちらもアクの強さではティム・バートン異常以上、常に鬼才と呼ばれ続けるデビッド・リンチ。凝りに凝った映像作りに一生懸命になり過ぎて、かなり歪な映画を完成させてしまった(えっ、未完成のまま公開したの?)。音楽担当はロック・グループのTOTO。組曲としてまとめられた演奏を聴いていると、あの悪夢のような映像が記憶の底から蘇ってくる。あ〜気色悪い。
TVシリーズ『ディープ・スペース・ナイン』からはエピソード「父と子」よりデニス・マッカーシーの音楽を収録。このシリーズ、設定は未来であり宇宙なんだけど、物語の構造は基本的にメロドラマだから、こうしたオールドファッションな佳曲が多い。このエピソードを観たことのある人なら、ジーンとくると思う。観たことない人は、これが『スター・トレック』の音楽とは、とても想像できないんじゃないのかな。
ジェリー・ゴールドスミスの劇場版『スター・トレック』1作目からはお馴染み「クリンゴンの攻撃」。そして新シリーズ『ファースト・コンタクト』から壮大なテーマの「エンド・クレジット」。このシリーズ、ゴールドスミスの音楽によってどれだけ助けられていることか。久しぶりに『ファースト・コンタクト』を聴いていて、感動してしまったよ(映画は退屈でしようがなかったけどね)。
ゴールドスミス作品は他に、タイプの異なるモチーフをこの作曲家ならではの多彩な試みでまとめあげた『トワイライトゾーン 超次元の体験』も収録されている。スピルバーグのエピソードで奏でられる心温まる優しいメロディ、ミステリアスな雰囲気のジョー・ダンテのエピソードを経て、ジョージ・ミラーが担当した強烈なサスペンス音楽でクライマックスを盛り上げる。オリジナル盤では別トラックになっていたテレビ・テーマもご一緒にどうぞ。
『宇宙空母ギャラクティカ』から4曲が演奏されているが、俺にはぜんぜん面白味が感じられない。この時期、『スター・ウォーズ』人気で、宇宙を舞台にした活劇映画には決まってド派手なシンフォニック・スコアが付けられていたけど、これはその悪しき典型だと思う。ただ管弦楽が鳴っているだけで高揚感がまったく感じられない。
ロイス & ベビー・バロンによる『禁断の惑星』は、この時代(56年)の最先端。全編を電子サウンドで彩りモダンな効果をあげていた。音楽ではないので音だけ聴くと退屈だが、映画を観た人ならシネスコ画面に広がる宇宙空間を思い出すかも知れない。
惑星衝突による地球崩壊を描いた『地球最後の日』、火星人襲来による人類の危機を描いた『宇宙戦争』は、ジョージ・パル(製作)のSF志向とゴードン・ジェニングス(特殊効果)の大破壊イメージがベストマッチし、51年と53年のアカデミー賞を受賞したSF映画の佳作。音楽は両作ともリース・スティーヴンスが担当し、当時ヤマのように量産された低予算SFとは一線を画する、手堅いシンフォニック・スコアを提供。荒唐無稽なストーリーに格調を与えることに成功している。
このCDにはもう1本、クラシック作品が収められている。51年製作の『遊星よりの物体X』だ。こちらは先のジョージ・パル作品とは逆にB級に徹した怪物もの。ディミトリー・ティオムキンといえば一連の西部劇で耳に馴染みやすいテーマ・ソングを提供している人気の作曲家だが、ここでは凶暴なまでに破天荒なスコアを炸裂させている。これは製作された時代を考えると、アヴァンギャルトと呼んでもいい斬新さで、一聴に値する迫力編だ。サックス1本で不気味な雰囲気を醸し出す「The Thing Lives!」も、ボーナストラックとして収録されている。
『コンタクト』『スターシップ・トゥルーパーズ』『インデペンデンス・デイ』などの新しい作品は、まだオリジナル盤が流通しているので、収録曲目としては魅力がないかも知れない。ところが、この3作品は演奏がとても充実していて、特に『インデペンデンス・デイ』の「エンド・クレジット」はサントラよりも骨太でダイナミックな演奏になっている。曲のクライマックスでコーラスが入って来る箇所など、サントラ以上に燃える熱演といえる。
叙情的なクリストファー・ヤングの『スペース・インベーダー』や、シンフォニー・アレンジされたジャック・ニッチェの『スターマン 愛・宇宙はるかに』も悪くない。シティ・オブ・プラハ・フィル、けっこうやるじゃないか、と感心してしまった2枚組CDです。



soe006; E-mail address; soe006@hotmail.com