1924年
作詞/アイラ・ガーシュウィン Ira Gershwin
作曲/ジョージ・ガーシュウィン George Gershwin
いつか、私の愛する人がやって来る
大きくて逞しい、私の愛する人
彼がやって来たら、どんなことをしても引き止めるわ
彼が微笑みながら私を見つめる、それだけで解り合えるの
彼は私の手を握る、それだけで充分、言葉はいらないわ
日曜日に会えるかしら、それとも月曜日かしら?
月曜日じゃないかも知れないわね
でも、いつかやって来るわ
たぶん火曜日……そうね、火曜日にはいい知らせが届くわ、きっと
彼は二人っきりの小さな家を建てるわ
私はその家から一歩も外に出ない、理由は分かるでしょう?
だから私は待ってるの
私の愛する人がやって来るのを、私は待っているの
ガーシュウィン兄弟が1924年のミュージカル『Lady be Good!』のために書いた歌曲です。
ステージではアデール・アステア(フレッドの姉)が唄う予定でしたが、彼女とは相性が悪かったらしくすぐに外され、次に『Strike up the Band』の挿入歌として使うことになりましたが公演は失敗。結局ブロードウェイのステージでは、1度も唄われることがありませんでした。
当時の歌曲は、男性、女性どちらでも唄えるような歌詞が主流で、「The Man I Love」のような女性限定の歌詞は珍しかったそうです。
ブロードウェイ・ミュージカルのために書かれた曲なので、この曲にもヴァース(前口上のようにして唄われる導入部)が付いていました。内容は、「月明かりの下でチャーミングな王子様が現れるのを待っている」というもので、1937年のディズニー・アニメ『白雪姫』の「Someday My Prince Will Come」と共通の主題を持っています。たぶん、ディズニーが真似したんでしょう。
ほとんどの歌手がヴァースを唄っていないのは、ブロードウェイで唄われることがなかったからかも知れません(だから今回は訳詞を省略してしまいました)。
ヴァースを唄ったレコードを探していたら、ポップス畑のリタ・クーリッジが唄っていました。ピアノ・トリオをバックに、素直な声で歌い上げ好感が持てます。これ、ピアノは誰が演奏しているんでしょう? コーダに「Rhapsody in Blue」の1節をサラリと付けたりして洒落ています。 (追記:パーソネルは、リタ・クーリッジ(vo)、バーバラ・キャロル(p)、チャック・ドメニコ(b)、コリン・ベイリー(ds)、曲によってマイク・アトレー(org)、ディーン・パークス(g)が加わる)
ペギー・リーのCapitol盤で、バック・バンド(ネルソン・リドル編曲)の指揮をしている(ついでに、ジャケット写真でペギーに抱きついてたりする)のはフランク・シナトラです。
続いて白人の美人シンガーをもうひとり、ダイナ・ショア。アンドレ・プレヴィンとの共演盤です。これはガイド書などでもよく採り上げられている定番ですね。
感情表現の細やかさではビリー・ホリデイがダントツでしょう。彼女は何度も録音していますが、今回は初期のコロムビア録音を編纂したコンピレーション盤を紹介しておきます。
実は隠し玉として『青江三奈のすべて』(Victor)という3枚組(1〜2枚目は歌謡曲、3枚目がスタンダード・ソング集)も準備していたんですが……いや、ジョークではなくて、コレがなかなか良いんですよ、ホントに。
ヘレン・メリルが「ニューヨークのため息」なら、青江三奈は「伊勢佐木町のため息」ですね!
2011/08/25 追記
青江三奈「THE SHADOW OF LOVE」
Mina Aoe(Vo), Freddy Cole(Vo), Grover Washington, Jr.(Ss), Eddie Henderson(Tp), Jim Powell(Tp), Ted Nash(Ts), Jerry Byrd(G), Mal Waldron(P), George Mraz(B), Billy Hart(Ds), Steve Berrios(Perc)
Cry Me A River / It's Only A Paper Moon / The Man I Love / Love Letters / Lover Come Back To Me / Bourbon Street Blues (伊勢佐木町ブルース) / Harbour Lights / When The Band Begin To Play / What A Difference A Day Made / Green Eyes / Gray Shade Of Love / Sentimental Journey / Honmoku Blues (本牧ブルース)
Recording: 1993年3月3日〜7日 ニューヨーク
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