Autumn in New York

Autumn in New York

1934年
作詞・作曲/ヴァーノン・デューク Vernon Duke

田舎の休暇に別れを告げて、私はマンハッタンのホテルに移ります
お気に入りの持ち物はみんな処分して
冒険と競争の準備をしましょう
27階の窓から眺める巨大な街は、魅力がいっぱい

ニューヨークの秋は、どうして魅力的なんだろう?
お芝居の初日に心がときめくわ
ビルの谷間で人々がうごめき、雲が流れてゆく
ここが私の家だってことを実感できるわ

ニューヨークの秋には、新しい恋の予感があるわ
ときどき苦痛も味わうけど
中身のない夢に踊らされることもあるけれど
だけど、ニューヨークの秋がいちばんよ
秋をニューヨークで過ごせるのは、なんて素敵なことでしょう

ニューヨークの秋は、建物の屋根が夕陽で輝いている
落ち込んでいても元気づけてくれるわ
リッツホテルでランチを食べている道楽者も、陽気な離婚者も、
口を揃えて「最高!」って言ってるわ

ニューヨークの秋は、スラムだってロンドンの高級住宅街に変身させるのよ
スペインのお城もいらない
セントラル・パークのベンチにいる暗い場所が好きな恋人たち
最高にグレートなのはニューヨークの秋
またここで秋を過ごせるのは、なんて素敵なことでしょう

1934年12月に初演されたレビュー『Thumbs Up(承認)』で、ショウのクロージングに使用されたヴァーノン・デュークの曲。リチャード・ロジャース/ロレンツ・ハートの「Manhattan」(1925)に曲想がちょっと似ています。
ニューヨーク賛歌以外のなにものでもない歌詞ですが、哀愁も兼ね備え、しっとりと落ち着いた雰囲気が素敵です。メジャー・コードで進行してマイナーに転調して終わる、ちょっと変わったメロディなので、メランコリックな気分が誘われます。
ポール・ウエストン楽団をバックに、ジョー・スタッフォードが唄ったヴァージョンが有名(そして私のお気に入り)なので、あえて女性言葉で意訳してみました。

メロディと歌詞が綺麗に融合しているので、派手なフェイクを交えた演奏/歌唱はあまり見掛けません。
MJQの演奏は、ミルト・ジャクソンのヴィブラホンが哀愁を通り越して寂寞感を醸し出しています。これは初雪間近な晩秋のニューヨークですね。
ヴォーカル・レコードの定番、エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングの共演盤では、最初のコーラスをエラ、次のコーラスをサッチモが唄ったあと、彼のトランペットが間奏を演奏し、締めくくりは最初のコーラスの後半をエラが唄い、そのバックでサッチモがハミング。ほのぼのとした雰囲気に心が和みます。

2005/03/28追記
左に紹介しているジョー・スタッフォードの『Autumn in New York』(国内盤)がAmazonで在庫切れになっていたので、『Starring Jo Stafford』とカップリングされた2in1の輸入盤にリンク変更しました。音質は輸入盤の方が良好らしいです。
メル・トーメのAtlantic盤も、すっかりジャケットデザインが変わってしまいましたが、中身はオリジナル盤と同一のものです。

2008/08/09追記
メル・トーメのAtlantic盤は、オリジナル・デザインの盤が再発売されました。
1987年にリリースされた > 新デザイン盤
2008年にリリースされた > オリジナル・デザイン盤

「Autumn in New York」収録アルバム (輸入盤CD)
「ニューヨークの秋」収録アルバム (国内盤CD)
ヴァーノン・デューク (DVD・CD/楽譜、伝記・評伝など)

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