ハタリ!

ハタリ!
Hatari!

1961年/アメリカ/159分 (日本公開:1962年10月)
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1961年製作の明朗冒険喜劇。東アフリカのタンガニーカで猛獣狩りをする男たちを描いた、ただそれだけの映画。
冒頭で捕り逃がしたサイをクライマックスで見事仕留める、とか、取材にやってきた女性キャメラマン(エルザ・マルティネリ)と男たちの恋のさや当てだとか、スジらしきものもあるにはあるけど、各々のエピソードは独立していて直線的に繋がっていない。159分の長い映画なので、テレビ放映時にはかなりカットされていたと思うが、そんな構成なので短縮版でも混乱はなし。

レッド・バトンズが考案した一網打尽ロケット網とか、柵を脱走した駝鳥の捕獲だとか、デティールの面白さで見せるタイプの映画ですね。粋な台詞も散りばめられていて、この作品を好きな人が集まったら、一晩中語り明かしてしまうような、そんなタイプの映画。
最大の見所はスピードとスリル満点のサイ狩り。ジープにドカンドカンぶつかってくるサイの重量感が迫力。帰国するマルティネリを追いかけてくる3匹の子象も可愛い。動物園に送るために捕獲しているので、すべて生捕りなのが良い。動物好きには堪らない1本。

ハンターのメンバーは、ハワード映画らしく、各々得意技とプライドを持ったプロフェッショナルばかり。この個性的な面々を、なにもしないで突っ立っているだけでまとめているのが、ジョン・ウェインの貫禄。こんな役者、もう二度と現れないでしょう。
タイトルの「Hatari!」は、スワヒリ語で「やばッ!」とか「危ねぇ!」の意。サイ狩りの場面は、マジで「やばッ!」って声に出ますぜ。

ドノバン珊瑚礁
Donovan's Reef

1963年/アメリカ/109分 (日本公開:1963年7月)
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太平洋戦争で船を日本軍に沈められ、そのまま南海の小島に居ついてしまったジャック・ウォーデンは、現地人女性と結婚、子供も3人いる。その小島に、アメリカに残してきた娘(エリザベス・アレン)が訪れると知らせが届く。酒場「ドノバン珊瑚礁」の経営者で戦友のジョン・ウェインは、子供たちのことを誤魔化すため、ウォーデンの身代わりを引き受ける。そこへ、普段は隣の島に住んでいるが、毎年同じ日にやって来てウェインと喧嘩するのが習慣になっているリー・マービンが現れて……

『一日だけの淑女』(『ポケット一杯の幸福』)の状況設定を逆に捻って『静かなる男』風に味付けした、ジョン・フォード監督、晩年期(1963年)の人情喜劇。

全体的に脳天気というかノンビリ・ムードながら、観ている間は幸福な気分にひたれる映画です。こういう映画を生涯の1本とか言ってる人がいたら、お友だちになりたいですね。
しかし、現代のCG漫画映画ばかり観ている(見せられている?)人には、ソッポ向かれそうな映画ではあります。

最大の見せ場は、ウェインとマービンの殴り合い。
マービンはフォードの前作『リバティ・バランスを射った男』でも同様の荒くれ男を演じてました……どうでもいいことですが、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』のマッド・タネンは、リー・マービン(リバティ・バランス)が元ネタ(モデル)ですね。

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