standard songbook / The Days of Wine and Roses

ジャズ倶楽部

The Days of Wine and Roses

1962年
作詞/ジョニー・マーサー Johnny Mercer
作曲/ヘンリー・マンシーニ Henry Mancieni

We Get Requests
We Get Requests / Oscar Peterson Trio (Verve)
Amazon.co.jp
Nights of Ballads & Blues
Nights of Ballads & Blues / McCoy Tyner (Impulse!)
Amazon.co.jp
Sings the Mancini Songbook
Sings the Mancini Songbook / Sarah Vaughan (Mercury)
Amazon.co.jp
End of the World
The End of the World / Julie London (Liberty)
Amazon.co.jp
amazon
Amazonでお買物できます。
廃盤/在庫切れの場合もあります。
ご了承ください。

Standards and Jazz
INDEX

ジャズ・スタンダード楽譜

酒と薔薇の日々は、遊んでいる子供のように、笑いながら走り去ってゆく
野原を駆け抜け、閉まろうとする扉に向かって
二度とここへは戻れないと書かれた、扉に向かって

淋しい夜に、一陣の風が吹いてくる
酒と薔薇と、あなたに出会った頃の、輝く笑顔の思い出を漂わせ
風は通り抜けてゆく


アルコール中毒に陥った夫婦の、依存・共依存症を描いた映画『酒とバラの日々』の主題歌にして、ヘンリー・マンシーニ(Henry Mancini)の代表曲。
アル中になった夫のジャック・レモン(Jack Lemmon)を理解しようと務める妻のリー・レミック(Lee Remick)。しかし彼女も同じ穴のムジナとなり、二人はバラ園で働いて立ち直りを図る。更生した夫は立ち直れない妻を見捨てて去ってゆく。
『ティファニーで朝食を』や『グレートレース』など洒落たセンスの喜劇を得意としたブレイク・エドワーズの異色作。
最後の一線を、「二度とここへは戻れないと書かれた扉」と表現したところが秀逸です。
そこを超えるとアルコールの世界にズブズブとなり、未来のない生活が待っている。と同時に、甘美な過去に浸る歓びが悪魔の誘惑でもある。アル中のジレンマがよく描かれていますね。
作詞のジョニー・マーサー自身が酒乱だったことは有名で、酔っ払うと場所もわきまえず暴言をはいて、その度に騒動を起こしていたそうです。しかも翌朝、シラフに戻った彼は、迷惑をかけた人たちにバラの花を贈って詫びていたそうで、身をもって酒とバラの人生をおくっていたらしい。
そんな人だからこそ、この歌の詞をたった5分という脅威の早さで書くことができたんでしょうね。
日本人は欧米人に比べて身体がヤワに出来ているから、アル中になる前に肝臓をやられてしまう人が多い。したがってアル中の発生率も欧米に比べて少ないと言われてきました。でも食糧事情が格段によくなり、日本人の身体は大きく頑丈になったので、アル中もこれから増えてくるでしょう。いや、実は俺もかつては扉を少しだけ……(以下、自粛!)
そんなダークな内容とは無関係に、サロン風の明るいタッチのピアノを颯爽と展開しているのはオスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)。このレコード、シンバルやブラシが硬質に録音されているのでオーディオ・チェックによく用いてました。これくらいポピュラーな曲となると、よほどヘタな人でない限り、誰の録音でもかまわないって言うのが本音です。だけどマンシーニの音楽って、どんなジャズ・ミュージシャンが演奏しても、なぜかムード音楽っぽく聞こえてしまうんですよね。
だから、ジュリー・ロンドン(Julie London)だって載っけていいでしょ? 美人だしさ、こんな曲のときじゃなきゃ紹介できないタイプの歌い手さんなんですよ。これはそうでもないけど、ホント、この頃の彼女のアルバムは色っぽいのが多くてね、ジャケットの魅力だけで買っちゃいます。CDじゃ迫力ないからもちろんLPね。美人歌手のレコードはLPに限りますです。

映画『酒とバラの日々』DVD(Amazon.co.jp)

「The Days of Wine and Roses」収録アルバム (輸入盤CD)
「酒とバラの日々」収録アルバム (国内盤CD)
ヘンリー・マンシーニ (DVD・CD/楽譜、伝記・評伝など)
ジョニー・マーサー (DVD・CD/楽譜、伝記・評伝など)
soe006; E-mail address; soe006@hotmail.com