standard songbook / Cheek to Cheek

ジャズ倶楽部

Cheek to Cheek

1949年
作詞・作曲/アーヴィング・バーリン Irving Berlin

Fred Astaire & Ginger Rogers at RKO
Fred Astaire & Ginger Rogers at RKO (Rhino)
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Come Dance With Me
Come Dance With Me / Frank Sinatra (Capitol)
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Carol Sloane Sings
Carol Sloane Sings (Audiophile)
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Improvisations
Improvisations: Jazz In Paris / Stephane Grappelli (Barclay/Verve)
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ご了承ください。

Standards and Jazz
INDEX

ジャズ・スタンダード楽譜

天国、そうだね、此処は天国だね
お喋りもできないくらい、胸がドキドキしてる
探していた倖せに、ようやく巡り合わせた気分なのさ
きみと寄り添ってダンスしてると、天国にいるような心持ちだよ
今週ずっと悩んでいたことが、ウソみたいに消え去って
博打で当てた時みたいに爽快な気分なのさ

僕は山登りが好きで、いつも頂上まで登るんだ
だけど、きみと寄り添ってダンスすることに比べたら、楽しさも半分くらいかな
僕は釣りも大好きで、いつも水路や川で釣ってるんだ
だけど、きみと寄り添ってダンスすることに比べたら、楽しさも半分くらいかな

さあ、僕と踊ろう
きみの身体に腕を廻したいんだ
きみの魅力が僕を遠くへ連れてってくれるよ

天国、そうだね、此処は天国だね
お喋りもできないくらい、胸がドキドキしてる
探していた倖せに、ようやく巡り合わせた気分なのさ
きみと寄り添ってダンスしてると、天国にいるような心持ちだよ


フレッド・アステア&ジンジャー・ロジャース主演のRKO映画『トップ・ハット(Top Hat)』(1935年)のダンス・ナンバー。
映画ではアステアがワン・コーラス唄った後で、2人のダンスが披露されます。
このときのジンジャーの衣装はダチョウの羽根をふんだんに使ったゴージャスなもので、2人のダンスが始まると羽根の粒子がスタジオ中に飛び交い、くしゃみが止まらなくなったアステアはジンジャーを怒鳴りつけ、普段からアステアと仲が悪かったジンジャーのステージ・ママも横から加わって、アステアとジンジャーとステージ・ママの3人が激しいやりとりを繰り返したあげく、このシーンは予定より3日遅れで撮影された、という逸話が残っています。
これから映画をご覧になる方は、ダンス場面にご注目ください。

映画の撮影だけでなく、楽曲自体も一筋縄ではいかない経緯をたどっています。
というのも、アーヴィング・バーリンは専門的な音楽教育は一切受けていない独学の人で、作曲も歌詞も、独特の方法で作っていたからです。
彼は作った曲を譜面でなく、本人の弾き語りで演奏し、それをスコアラーに聴かせて譜面にしていました。「Cheek to Cheek」も最初は彼の下手な唄と下手なピアノ演奏でスタッフに披露され、これはヒドイと関係者全員が眉をしかめたそうです。そんなポンコツを譜面に写しとり、スマートなダンス・ナンバーに変身させたのは、音楽監督のマックス・スタイナーでした。
アーヴィング・バーリンは、すべての楽曲を完成させたあともスタジオに残り、撮影中も細かい指示を出していました。アステアは隅で見ていたバーリンに、唄いだしを語りかけるようにしてはどうだろうと相談、バーリンは素直にそのアイディアを受け入れたそうです。

このときのアステアの録音は、ウディ・アレンの『カイロの紫のバラ(The Purple Rose of Cairo)』(1985年)や、スティーヴン・キング原作の映画化『グリーンマイル(The Green Mile)』(1999年)でも流用されていました。

録音しているシンガーやジャズメンは多いのですが、アステアのダンスの雰囲気を壊さない、スマートなCDをチョイスしてみました。

ここのサイトはシナトラばかりじゃないかとお叱りを受けそうですが、管理人の趣味のページなので誰にも文句は言わせません。やはりシナトラはいいです。
特にCapitol時代のシナトラに、駄作は1枚もありません。
紹介している『Come Dance With Me』はダイナミックな演奏で定評のあるビリー・メイのアレンジメントでパワフルな1枚。1959年度のグラミー賞で、アルバム・オブ・ザ・イヤーとベスト・ヴォーカル賞を受賞した名作です。

男性ヴォーカルで1番のお気に入りはCapitol時代のシナトラ、女性ヴォーカルはVerve時代のアニタ・オデイですが、2番目に挙げてもいいな、と思っているのがキャロル・スローンです。
ひところは日本企画のレコーディングもけっこうあったのですが、メジャー・レーベルへの録音が少ないので、知名度が低いのが残念です。
スロー・バラードはしっとりしみぢみ、アップテンポも小粋にこなして達者です。メロディを下品にフェイクしないところがいいですね。
フランク・ウェスのテナー・サックスとフルートが好サポートしている『Carol Sings』はマイナー・レーベルからのリリースなので、廃盤になるとなかなか入手が難しいと思います。

「スマート」と「小粋」の2つのキーワードで、俺の脳味噌を検索すると、上位に出てくるのがステファン・グラッペリです。ご紹介しているCDは1956年の録音で、原盤はフランスのBarclay。
このCDを含めたフレンチ・ジャズ・シリーズ9枚が、似たようなジャケット・デザインと『Jazz In Paris』の通しタイトルでリリースされているので、購入の際は収録曲をお確かめのうえお求めください。なお、国内盤(ユニバーサルクラシック)のタイトルは『魅惑のリズム/ステファン・グラッペリ』です。

映画『トップ・ハット』DVD(Amazon.co.jp)

「Cheek to Cheek」収録アルバム (輸入盤CD)
「チーク・トゥ・チーク」収録アルバム (国内盤CD)
アーヴィング・バーリン (DVD・CD/楽譜、伝記・評伝など)
フレッド・アステア (DVD・CD/楽譜、伝記・評伝、写真集、ポスターなど)
soe006; E-mail address; soe006@hotmail.com