ほら、あの娘だよ
僕を不眠症にさせちまう女の子って、彼女のことなのさ
あの燃えるような眼差し、あの溌剌とした若さ
飯も喉を通らなくなるほど、僕は彼女に夢中なのさ
通りを歩いてくる彼女を見てみろよ、彼女、可愛いって思わないかい?
ここだけの話だけどさ、彼女って、素晴らしいって思わないかい?
彼女って、スウィートだって思わないかい?
ジャック・イェレンとミルトン・エイガーが作った曲で、1927年にポール・アッシュ(Paul Ash)楽団によって、シカゴのオリエンタル劇場で初演されています。
エイガーとイェレンのコンビは、1920年代から30代年にかけてヒットソングを作っていましたが、現在までスタンダードとして歌い継がれているのはこの「Ain't She Sweet?」くらいでしょう。
エイガーはリトアニア、イェレンはポーランド出身のユダヤ移民。しかしこの曲は、そんなユダヤ気質などまったく感じさせない明朗アメリカン・ソングで、ローリング・トウェンテイ時代の陽気な雰囲気が愉しめます
アップテンポで演奏されることが多く、チャールストンと言えばこの曲! みたいな、20年代を代表する曲と言っていいんじゃないでしょうか。
ボーカルでは、ミディアムにテンポを落として唄う歌手もいます。これも感じの良いレコードが多いですね。
基本は、ヴォーカルはフランク・シナトラ(Frank Sinatra)のReprise盤(編曲指揮はニール・ヘフティ)、器楽演奏ではエロール・ガーナー(Erroll Garner)のピアノでしょうか。
ローリング・トウェンテイは、荒れ狂う20年代といった意味で、シカゴ・ギャングのアル・カポネが暴れ廻り、もぐり酒場(スピーク・イージィ)が繁盛していた頃のこと。簡単に言えばアメリカの禁酒法時代。『お熱いのがお好き』や『アンタッチャブル』など、あなたも映画で見たことあるでしょ?
日本では、ドロシー・プロヴァイン(Dorothy Provine)のレコードが60年代にリバイバル・ヒットしたけど、残念ながら今は廃盤のようです。
え、ドロシー・プロヴァインって、ご存じない?
ブレーク・エドワーズの『グレート・レース』、ご覧になってませんか? ほら、西部の町でトニー・カーチスと三角関係に……そう、あの綺麗なお姉さんですよ。彼女って素敵ですよね、そう思いませんか?
- 「Ain't She Sweet?」収録アルバム (輸入盤CD)
- 「エイント・シー・スウィート」収録アルバム (国内盤CD)
- ドロシー・プロヴァイン (DVD・CD/伝記・評伝、写真集、ポスターなど)
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