戦争映画

レマゲン鉄橋
The Bridge at Remagen

1968年/アメリカ/116分 (日本公開:1970年3月)

まず冒頭の、猛烈な勢いで鉄橋を総攻撃する大戦車軍団の場面が凄い。凄すぎる。爆撃機の爆弾投下、その俯瞰のショットなど背筋がゾクゾクするほどの大迫力。まさに物量の勝利。
エルマー・バーンステインの躍動感溢れる音楽がカッコイイ。MV世代にはピンとこないかも知れないが、俺等60年代生まれのオジサンが燃える映画音楽って、コレなんだよ。
ノルマンディー上陸後、ベルリンを目指して進撃を続ける連合軍(アメリカ軍)が、攻防の要(かなめ)となるレマゲン鉄橋をめぐって、ドイツ軍と壮絶な争奪戦を繰り広げる。それが最大の見所。
それだけに集中していれば戦争映画の大傑作になったんだけど……

米軍、独軍、どちらも内部に問題を抱えていて、そのあたりが描かれる中盤が退屈。
ヤバい作戦だと必ず引っ張り出される「独立愚連隊」みたいな部隊を指揮しているのはジョージ・シーガル。この人ってどの映画観ても、役者の華ってものが感じられないんだなぁ。今回もパッとしない。倒した独軍兵士の所持品を自分の懐にポイしちゃう守銭奴軍曹ベン・ギャザラのキャラクター造形も、意外とつまらない。
一方、ロバート・ヴォーン扮する貴族出身の将校は、軍服がよく似合っていて格好いい。作戦失敗の責任をとらされ銃殺される場面、煙草に火を付け軍用機が飛ぶ青い空を見上げるときの表情など、特に良い。
米兵を狙撃する少年など、小出しされるエピソードにジョン・ギラーミンのヒューマニズムが垣間見える。(この監督、後年、血湧き肉躍る大怪獣活劇を動物愛護メロドラマにリメイクしちゃってるくらいヒューマニストなんだよな)
そのあたりの展開は無かったことにして、米軍がレマゲン鉄橋に到着してからの攻防戦を楽しもう。こんなに壊しちゃっていいのかよ、って観ている方が躊躇してしまうくらいに爆破、爆破、爆破の連続。この破壊のスペクタクル性こそが戦争映画の醍醐味。CGなど無かった時代のことゆえ、スタッフの段取りの大変さを想像するに、よくやった、最高です、と誉めずにいられない。

スピルバーグは『プライベート・ライアン』製作にあたって、絶対この映画を参考にしていると思う。戦車が塹壕の中にいる兵隊の頭上にのしかかってくる場面など、まったく同じカットが幾つもあったもの。

今回はシネスコをTVサイズにトリミトリングしたビデオ版(BS-2)だったのが残念。せめてオリジナルのワイド・フレームでスペクタクルを楽しみたかった。

コマンド戦略
The Devil's Brigade

1967年/アメリカ/130分 (日本公開:1968年9月)

アンドリュー・V・マクラグレン監督による、1967年製作の戦争映画。
第2次世界大戦中、ナチのヨーロッパ侵攻を阻止すべく、アメリカ=カナダ混成の特殊(コマンド)部隊が組織される。クリフ・ロバートソンが指揮するカナダ部隊は、『戦場にかける橋』のイギリス兵のように規律正しく統制されたエリート集団だが、ヴィンス・エドワーズが隊長を務めるアメリカ部隊は、ロバート・アルドリッチの『特攻大作戦』のような(あそこまで酷くないが)ならず者ばかり。この組み合わせが映画の見所で、最初は反目してた部隊が、3ヶ月の訓練のなかで友情を芽生えさせるという展開も、定石ながらグッド。クライマックスの山岳アクション場面も、そこそこ迫力あり。
グリーンベレー誕生にまつわる実話だそうだが、マクラグレンの職人技で、笑いあり涙ありの娯楽作品に仕上がっている。

こんな、肩の力を抜いて愉しめる戦争映画って、もう作られないのかなあ。
ベトナム戦争以降の戦争映画は反戦メッセージばかり強調されて、スカッと愉しめないんですよね。60年代なんてまだ従軍経験者がわんさかご存命だったのに、このような娯楽映画をみなさん喜んで観ていたわけで……いまほど反戦が鬱陶しい時代はありませんね。
というわけで……愉快痛快、大型戦争冒険活劇の復活を激しくキボンヌ。

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